リカードの比較優位理論を応用した部下活用術
部下が持つ強みを活かして仕事をさせると成果を出しやすくなります。
係長には部下の特性を見極め、部下を上手に活用して成果へと導いていく能力が求められます。人には向き不向きというものがありますので、向いてない仕事をさせて成果が出ないと叱るのは筋違いです。向いてない仕事をさせた上司が悪いのです。
しかし中には
「強みが見当たらない」
「何をさせても他の部下より劣っている」
という部下がいることも事実です。実際、多くの係長が、「使えない部下」の存在に頭を悩ませています。一般的にも、チームメンバーのうち、約2割が有能、7割が普通、残りの1割が無能(失礼!)であると言われています。
だからといって1割の無能な部下を見捨てるわけにはいきません。使えない部下を使いこなし、チームの底上げを図って成果を高めることが、係長の役割ともいえます。
使えない部下を活かす考え方として、リカードの「比較優位理論」があります。これは国際貿易を語る上で欠かせない理論です。優れた生産能力を持つA国と劣った生産能力しか持たないB国が貿易を行えば、一見、B国が圧倒的な不利に立たれそうな気がします。
ところが、お互いが比較優位を持つ生産物に特化して貿易を行うことで、お互いが利益を得ることができると証明したのがリカードの「比較優位理論」です。
なんとも非常識な理論のように聞こえますが、リカードの「比較優位理論」は200年以上も前に提唱された国際貿易の古典理論なのです。
これをビジネスの現場に例えれば、有能な部下Aと無能な部下Bが、お互いが比較優位を持つ仕事に特化して分業すれば、チーム全体のメリットにつながるということです。
たとえば、プレゼンも事務仕事も得意な部下Aと、どちらも苦手な部下B。この二人を活用したい場合、ブレゼンも事務仕事も部下Aに任せるのが最も高い成果を生み出しそうな気がします。しかし、実際にはそうなりません。部下Aが事務仕事をすることで、事務仕事よりも高い付加価値を生み出すプレゼンの機会ロスが発生するからです。
そこで、部下Aにはより強みを発揮できるプレゼンを任せ、部下Bにはプレゼンよりもましな成果を出せる事務仕事を任せます。これによってチーム全体の成果は高まるのです。
ちょっと難しいですが、リカードの比較優位理論を応用した部下活用術、ぜひ試してみてください。
スポンサードリンク
関連記事
-
仕事を抱え込む係長が組織にもたらす悪影響
係長の役割は、一担当者が担う役割とまったく異なります。一担当者は個人プレイヤーであり、自分の手足を直
-
係長への昇進・昇格試験
大企業では、係長に登用する人材を「人材アセスメント」という昇進・昇格試験で選抜することがあります。人
-
SWOT分析で自分自身を棚卸しする
係長であれば「SWOT分析」を基本的知識として押さえ、必要に応じて効果的に使いこなせるようになってお
-
ロジカルシンキングはなぜ必要なのか
ロジカルであるとは、根拠や理由を客観的に示しながら、自分の考えに納得感のある筋道を立てることです。
-
係長に求められるマネジメント能力
係長はマネジメントのいろはを覚える第一歩となるポジションです。会社内の最小単位のチームともいえる係の
-
係長に求められるストレスコントロール力
いつ寝首を掻かれるかもわからない戦国時代の武将に比べればまだましなのかもしれませんが、現代はストレス
-
係長とサーバントリーダーシップ
「うまくリーダーシップを発揮できない」 「どうしてみんなついてきてくれないのだろう」 自分の
-
環境変化に対応できるマネジメント力を養うには
慣れた職場環境では活躍できるのに、状況が変わると活躍できなくなる係長がいます。 「顧客の要求が
-
自分の言葉で語ってこそ説得力が出る
係長としての自分の言葉に説得力がないな、と思った方は、もっと自分の言葉で語るよう意識してみると良いか
- PREV
- 仕事を抱え込む係長が組織にもたらす悪影響
- NEXT
- 環境変化に対応できるマネジメント力を養うには